ニューヨークの王様 [43本目]

ニューヨークの王様 [DVD]
[公開] 1957
[監督] チャールズ・チャップリン
[主演] チャールズ・チャップリン<物語> ◇◇◇<映像> ◇◇◇<演技> ◇◇◇<音声> ◇◇◇


<総合> 60点

革命運動のため財産を持ってアメリカに逃亡してきたシャドフ王は騙されてテレビCMに出演したことがきっかけで大人気となります。その人気はさらに高まっていきますがそんな中彼は小学校で1人の少年と出会います。チャップリン最後の主演作です。
晩年のチャップリンということでだいぶ落ち着いた役柄ではあるんですが、それでも生来の陽気な気質と平和主義な性格が滲みでていますね。良い意味で王様らしくないコミカルな動きはまさにチャップリンそのもの。あんなに歳でもちょこまか動くのはチャップリン作品の醍醐味でしょうね。そして明確な社会風刺を行いながらも皮肉な笑いを提供しているのも良かった。堅苦しくないチャップリン風の仕上げですね。
とは言えやはり晩年ですしキレがないのは事実。政治的思想を盛り込むのは良いのですがコミカルさが失われてきた反面そういった思想は意外とストレートに組み込まれている。ルパート少年の演説なんて顕著ですよね。ある種の怒りも込めたような直接的描写に関しては映画というエンターテイメントの巨匠であるだけに残念でした。何かを訴えるというより、個人的恨みを爆発させたような。だからこの作品でチャップリンが身を引いたのは良かったと思います。そういう意味でチャップリンファンとしては色々と感慨深い作品でした。チャップリンが好きな方は最後の主演作、ぜひ見てみてください。総合点は60点です。


ところでルパート役の少年ってチャップリンの息子なんだってね。息子に共産党の演説やらせる父親もどうかとは思いますが...