ゆきゆきて、神軍 [3本目]

ゆきゆきて、神軍 [DVD]
【物語】 ★★ (2)
【演出】 ★★★ (3)
【映像】 ★★★ (3)
【全体】 ★★ (2)
【総合】 50点 


【公開】1987年
【監督】原一男
【主演】奥崎謙三

[概要]
戦時中、上等兵だった奥崎謙三日本兵内で起こった射殺事件の真相を明らかにするために当時の上官たちを訪ねていきます。反社会活動家奥崎謙三のドキュメンタリーです。


[感想]
これ、映画かどうかってこともあるんですが。一応劇場公開されたということで。まず、内容は本当にドキュメンタリーです。意図的な脚色や編集はありませんが、やはり情景を沸き立てるような撮影の仕方をしているなという印象でした。それよりも、奥崎謙三という人物を追うことで戦争とは何なのか、実際にはどんなことを当人たちは思っていたのか、まさに本人たちの口から語られることの衝撃はあります。そして、奥崎謙三自身もかなりイカれた行動をとっていくので「何やってんだこのおっさん」という感じはあります。矛盾だらけで誰が見ても悪者はこのおっさんなんですが。何やらかすんだろう、というリアルならではの迫力がありますね。
正直なところ面白いものではないですし事実から言って胸くその悪い話ではあるんですが、意義から言って、ドラマチックに仕立て上げられた戦争映画よりもよっぽど悲惨さや虚無さや怒りが伝わるんじゃないかと。あと、ドキュメンタリー映画というものがなかった時代、これに衝撃を受けた人々も多々いたということは映画史において重要なんだろうと思います。そういう映画が好きなら原点として見ておいてもいいかも。総合点は50点です。


[戯言]
あの体当たり撮影で有名なマイケル・ムーア監督が影響を受けた映画ですからね。エンターテイメントとしての映画の用い方ではないんだろうけど。たまにはこういうの見るのもアレですね。アレ。